現代は柔らかい食べ物が増えて、食事にかける時間も短くなっていることから、噛む回数が少なくなっているといわれています。そのことが原因で、顎が小さくなったり、高齢になってからの食生活が満足にできなくなったりするなどの弊害がでてきています。
噛むことは歯や口だけではなく、全身にかかわる大切なことです。噛むことの効果をいくつかあげますので、是非参考になさってください。
■噛むことの効果
噛むことで得られる健康への効果はいくつかあります。
1.消化によい
よく噛むことで唾液の分泌が活発になります。唾液の役割として、細菌や食べものを洗い流したり、細菌の活動を抑制したり、唾液アミラーゼやムチンが食物を飲み込みやすくしたり、胃腸での消化を助ける役割があります。
2.口腔内の病気の予防
唾液の分泌により、汚れが洗い流されるので虫歯や歯周病の予防、また、唾液には菌を抑制する働きがあり口臭予防にもつながります。
3.太り過ぎ防止
噛む回数を増やすことで、ゆっくりと食事をするようになり、満腹を感じやすくなり、食べ過ぎることを防ぐことができます。
4.脳が活性化する
噛むことで脳へ刺激が送られて、脳の活性化につながり、認知症予防になります。
5.正常な味覚の発達
しっかりと噛みしめることで、ゆっくりと味わうことができ、様々な味覚に敏感になります。薄味でも素材の味を味わうことで、味覚が発達して細やかな味の違いが分かるようになります。
6.発音が明瞭になる
噛むことで口の筋肉がつき、言葉の発音なども明瞭になってきます。
7.正しい顎の成長や発達
顎が成長する時期によく噛むことで、正しい顎の成長や発達につながります。適切な咬み合わせのためには、歯列が顎に正しく並ぶことが必要です。しかし、現代人は顎が小さく歯がきれいに並ばずに、八重歯や凸凹歯列になる人が多くなっています。
■噛む回数は何回くらいがいいの?
一口につき30回くらいがよいとされています。
一口ごとに数えるのは大変でしょうし、食事の楽しみも減ってしまいそうなので、意識した時だけにしたりしましょう。まずは30回噛むとどれくらい時間がかかったり、どの程度食べ物を咀嚼できたりするのかを体感してみるのがいいですね。
■『ひみこの歯がいーぜ』
公益財団法人8020推進財団、という8020運動を推進している財団があります。
8020運動とは80歳になっても自分の歯を20本以上保ち、健康に生活することを掲げている団体です。
よく噛んで食べることの大切さを標語にした『ひみこの歯がいーぜ』という標語を作っていますので参考にしてみてください。
「ひ」 肥満を防止する
「み」 味覚の発達を促す
「こ」 言葉をはっきりさせる
「の」 脳の働きを活発にする
「は」 歯の病気の予防
「が」 がんの予防
「い」 胃腸の働きを促進する
「ぜ」 全力投球
噛むことの効果(まとめ)
しっかりとよく噛んで食事をすることで、健康な体づくりにつながります。これからは食事の際にも噛む回数を意識して増やしてみたり、固い食べ物を取り入れたり、しっかり噛める食事を心掛けましょう。