歯を失ったときの治療法として、入れ歯やブリッジのほかにインプラント治療があります。インプラント治療は外科手術を伴いますが、自分の歯のような噛み心地や本物の歯とほぼ変わらない審美性などのメリットが多くあります。
しかし、インプラント治療を希望したとしても、治療をうけることができない人もいます。
それは、インプラント手術の際に必ず必要になる顎の骨の厚みや量が足りない方です。そのような方でもインプラント治療を受けられるように、骨造成治療という補助手術があります。
今回は、骨造成について治療法などを詳しく説明いたします。
骨がなくてもインプラントができる!?骨造成とは目次
骨造成とは
なぜ骨が足りなくなるの
骨造成の治療法
骨がなくてもインプラントができる!?骨造成とはまとめ
この記事を監修した歯科医
■骨造成とは
インプラント治療を成功させるには、顎の骨に埋め入れたインプラントが完全に結合することが必須です。そのためには、インプラント体を支える十分な顎の骨の量やスペースが必要です。
もしも、十分な骨の量がなかったら、埋め入れたインプラントが揺れたり、顎から突き抜けたりしてしまうこともあります。しっかり固定できないため食事もできなくなったり、脱落につながったりすることもあります。
骨造成(こつぞうせい)はそのような場合に、人工骨などを使用して足りない顎の骨を増やしてインプラントをしっかり固定できる骨を造る治療法です
。
■なぜ骨が足りなくなるの
歯が抜けたあとに放置していると骨に刺激がなくなっていき、次第に骨が薄くなっていきます。
また、歯を失って入れ歯やブリッジにした場合も、顎の骨に直接刺激があった天然歯よりも刺激が少なくなって、徐々に骨が薄くなっていきます。
上顎には上顎洞があるので、インプラント体を支えるための高さが足りないことが多くなることがあります。
下顎の場合も、大切な血管や神経が通っているので、安全なインプラント治療のためにも十分な骨の厚みが必要となるのです。
そのほかに生まれつき骨が薄い人もいます。
【骨造成したほうが良い方】
・インプラント治療したいが、骨の量が足りないといわれた
・顎の骨も少なく、歯茎もやせてしまっている
■骨造成の治療法
骨造成の治療法はいくつかあり、代表的な3つをご紹介します。
1.GBR
顎の骨の量が足りない場合に行う治療法です。
骨が足りない箇所に人工の骨や自分の骨を移植したり、骨補填剤を置いたあとにメンブレンという人工膜で骨の再生を促進したりする方法です。
骨が再生されるまで半年前後の時間がかかります。
2.サイナスリフト
上顎の骨に厚みがない場合(5㎜以下)に行われる治療法です。
上顎の奥歯の上には上顎洞といわれる空洞があり、この空洞が広かったり骨の吸収が進んだりしていると骨が足りないことがあります。その空洞を埋めるために歯茎から上顎洞を直接上に持ち上げて、空いたスペースに人工の骨補填材を入れます。
3.ソケットリフト
上顎の骨に厚みがない場合(5㎜以上)に行われる治療法です。
サイナスリフトと同じように上顎の奥歯の上に骨が足りない場合の治療法です。
歯の生えていた箇所から人工の骨補填材をいれて専用の器具で上顎洞底を広げます。サイナスリフトよりも傷口が小さく、手術時間も短くなりやすいといわれています。
どの治療法もインプラントの埋め入れを同時に行う場合もあり、骨の量や治療法によって治癒期間が異なりますが、3ヵ月~1年くらいでしっかりと定着します。
骨がなくてもインプラントができる!?骨造成とは(まとめ)
インプラント治療を希望して「治療できない」と言われた場合でも、その理由によっては治療ができる場合があります。
治療できない理由は人により様々ですが、顎の骨の量が足りない場合には、骨造成治療を行っている歯科医院さんを探したり、紹介してもらったりするなどの方法があるので、かかりつけの歯科医院に相談してみましょう。