高齢になると多くなる病気である骨粗鬆症は、治療で処方されている薬が歯科治療と重大な関係があることが分かっています。
また、骨粗鬆症と歯周病との興味深い関係も明らかになりつつあります。
今回は、骨粗鬆症と歯の関係について、解説していきましょう。
■骨粗鬆症(こつそしょうしょう)とは
骨粗鬆症とは骨の強度が弱くなって、少しの衝撃でも骨折しやすくなっている状態になることで、閉経後の女性や高齢者に多い疾患です。
骨粗鬆症になると骨折しやすくなることは知られていますが、それをきっかけに車いすを使用するようになったり、寝たきりになったりするなど、生活への影響が大きい病気です。
■骨粗鬆症の治療薬を服用している場合の注意点
骨粗鬆症の主な治療薬として、ビスフォスフォネート系の薬の服用指示が出されていることが多くあります。これは骨粗鬆症だけではなく、高齢者が転倒などで骨折したことをきっかけに寝たきりになったりしないように、予防のために処方されることもあります。
しかし、この薬を服用したことがある方が抜歯やインプラントなどの治療を受けると、顎の骨が腐ったり、感染症にかかり壊死したりする可能性があることが分かりました。顎の骨が一度壊死してしまうと、元に戻すことは困難です。
外科的な処置をした場合に発生することが多いですが、一般的な虫歯治療などにおいても傷などから壊死が始まるかもしれないので、治療後も定期的に診察に通うことが必要です。
■骨粗鬆症と歯周病の関係
骨粗鬆症は女性に多い病気で、それは閉経後の女性ホルモンであるエストロゲンの減少が関係しています。エストロゲンは骨の強度の減少に関係するだけではなく、歯を支えている顎の骨ももろくさせていく原因となっています。
2つの関連性から骨粗鬆症の方は歯周ポケット内に炎症を起こしやすく、歯周病にかかりやすく進行も早いとされています。
先にのべたように、骨粗鬆症で処方されている薬は顎の骨の壊死を引き起こす可能性があり、歯周病治療や歯茎・抜歯の治療が困難になる場合があります。
■骨粗鬆症の方が歯科治療する際の注意点
かかりつけの主治医と歯科医師に必ず相談しましょう。勝手に薬の服用を中止したりすると治療の妨げになることもあります。また、以前薬を服用していた方も必ず歯科医師に伝えるようにしましょう。
骨粗鬆症の薬を服用しはじめると外科的な治療は難しくなるので、骨粗鬆症の治療を始める前に歯科医院を受診し、虫歯や歯周病などを治療して口腔内の環境を整えておくことを意識しておいた方がよいでしょう。
■骨粗鬆症の予防のために
骨粗鬆症にならないために、カルシウムの吸収を促進させるビタミンDを生成する日光浴も兼ねた散歩や、家事のような適度な運動を行い、バランスのとれた食生活をすることが大切です。
また、女性は閉経前に骨量をふやしておくことを心掛けましょう。40歳以降は、骨密度の検査を行い、骨密度が減っているようなら骨を増やすような生活習慣を意識しましょう。
【積極的に摂取したい食事】
・カルシウムが多く含まれたもの
牛乳、小魚、小松菜、大豆製品
・カルシウムの摂取を促進させるビタミンDが多く含まれたもの
卵、サケ、カレイ、しいたけ
骨粗鬆症について(まとめ)
日本は徐々に高齢者社会になりつつある、長寿国となりました。ただ長生きするだけではなく、健康で社会参加をしながら生活を送りたい、とは誰しもの願いだと思います。
健康的な生活には食事や運動がかかせません。それを支えるのは健康な歯や骨ですね。
まずは、毎日の口腔ケアを意識しながら健康的な生活を送れるようにしましょう。