歯茎がブヨブヨしてきたように感じたり、出血などがあったりする場合、歯周病にかかっているかもしれません。
歯周病は、痛みや自覚症状があまり感じられないので、気づいたときには歯を失う一歩手前まで進行していることもある病気です。
とくに喫煙習慣のある人の多くは、タバコを吸っていない人よりも、数倍も歯周病にかかる確率が高くなるというデータもあります。
今までのタバコからアイコスなどの煙が出ないタイプのものに替えたから大丈夫!と思っている人もいるかもしれませんが、実際はどうなのでしょう?
今回は歯周病について、タバコと歯周病、アイコスと歯周病の関係について、詳しく説明したいと思います。
■歯周病とは
歯周病とは、歯周病菌によって顎の骨が徐々に溶かされて、歯を支えることができなくなり、重度の場合には歯を失ってしまう病気です。
日本人の多くは歯周病にかかっており、中年以降は歯を失う原因の上位です。
■歯周病の症状
歯茎の腫れ
ピンク色で引き締まっている歯茎ですが、歯周病に罹ると赤くブヨブヨと腫れます。
出血
歯茎が炎症をおこして腫れていると、歯ブラシの刺激で出血が起こることがあります。
歯茎が下がる
歯周病により歯が支えられている骨が溶けると歯茎も下がってくるので、歯が長くなったように見えます。
歯の痛み
知覚過敏のような痛みなどの症状がでます。歯茎が下がることで、今まで歯茎に覆われていた象牙質がむき出しになり、神経を刺激するのです。歯茎の腫れが痛みを引き起こすこともあります。
膿が出る
炎症が進行して、歯茎から排膿が始まります。
口臭
膿が出始めると口が臭いやすくなります。また、歯茎が下がり、食べ物がはさまりやすくなることでも口臭が発生します。
歯の動揺
骨が溶けて歯が支えることが出来なくなり、グラグラするようになります。
■歯周病と喫煙の関係
喫煙は体への悪影響は知られていますが、それだけではなく、歯周病になる原因の一つといわれています。
タバコを吸っている人の多くは、歯周病を患っているといってよいでしょう。
歯周病になってしまう原因としては、タバコに含まれるタールとニコチンが関係しています。
タールやニコチンなど有害物質が、口腔内の粘膜や歯茎から吸収されると、唾液の分泌量が少なくなり、歯垢(プラーク)や歯石が歯に付きやすくなり、歯周病になりやすい環境となります。
また、ニコチンによって血管が収縮することで血のめぐりが悪くなり、酸素や栄養が十分に運ぶことができなくなって、歯周病の進行を早めて悪化させてしまうのです。
他にも、悪影響としては、細菌を撃退する白血球の機能低下、歯周病菌によって破壊された歯茎の修復に必要な線維芽細胞が抑制されてしまうこと、歯周ポケットが酸素不足になり歯周病菌が繁殖しやすい状態になってしまう、など、タバコを吸うと歯周病が進行するに好都合な環境になってしまうのです。
■アイコスでの喫煙の影響
アイコスのような加熱式タバコを吸っている場合、歯周病への影響に変化があるのでしょうか。
加熱式タバコは従来のタバコに比べると、タールなどの有害物質が少ないといわれています。また、副流煙が少ないことや、匂いを気にする人に人気です。
しかし、アイコスにもタールやニコチンは含まれており、血流が悪くなったり、歯茎の組織を破壊したりすることに変わりありません。
また、タールの量が減ることで、歯周病の症状がはっきり感じられるようになることもあります。
タールには有害物質とされていますが、「炎症を抑制する作用」や「ウイルスに対抗する作用」を持っており、そのタールが少なくなることで、今まで一般的なタバコによる歯周病の症状が抑えられていた部分が、表面化されるのです。
■歯周病になりたくなければ禁煙が一番!
従来のタバコでもアイコスのような加熱式のタバコでも、ニコチンは含まれており、微量のタールでも血流が悪くなるため、喫煙をやめることが歯周病予防には効果的です。
タバコを吸っていない人は喫煙者よりも、「歯周病にかかりやすさ」が4割も減ることが統計からわかっています。(日本臨床歯周病学会より)
また、歯周病にかかった際も、喫煙者は進行が早く、重症化しやすい点があげられます。
禁煙して、歯周病が繁殖しにくい環境を整えるための正しいプラークコントロールを行い、定期的な健診や歯周病治療をすることで、歯周病を改善し、予防することにつながるでしょう。