歯周病は歯と歯茎の間に溜まる歯垢の中にいる歯周病菌が原因で起こる病気です。
細菌に感染すると歯茎に炎症が起こり、歯を支えている顎の骨が溶けて、最終的には歯が抜け落ちてしまいます。
痛みや自覚症状があまりないため、定期的な歯科検診で予防することがすすめられています。
しかし、近年、定期検診を受けているのに歯周病が悪化してしまう人がいます。
せっかく歯科医院に通院しているのに、悪化してしまうのはなぜなのでしょうか。詳しく理由をみていきましょう。
定期検診を受けているのに歯周病が悪化したのはなぜ?目次
歯周病が悪化する原因
予防処置の流れ
定期検診を受けているのに歯周病が悪化したのはなぜ?まとめ
この記事を監修した歯科医
■歯周病が悪化する原因
加齢
中高年になると歯周病にかかる人が増えてきます。
それは、引き締まった歯茎がやせてきて、歯垢が溜まりやすくなる年代だからです。同時に年を重ねると歯茎の免疫力自体が低下して、歯周病菌から歯茎を守ることが難しくなってくるのです。
また、歯茎の細胞の老化も始まっています。老化した歯茎は歯周病からの毒素を浴びたときに、炎症が多くでます。また、一度歯周病になってしまった場合、再生する力も少なくなっています。
さらに、歯茎に栄養などを運んでいる血管も老化して血液の流れが悪くなります。栄養や免疫細胞が十分にいきわたらず、歯周病に感染しやすくなるのです。
喫煙習慣
タバコは歯周病の進行を早めてしまいます。喫煙すると歯茎の血行が悪くなり、歯周病にかかりやすくなったり、進行を早めたりします。
タバコを吸っている人の歯周病の罹患は10年後の口腔内状態にさせているともいわれています。
生活習慣の蓄積
歯周病の進行を手助けするような夜更かしやバランスの悪い食生活などを改めて、ストレスなく抵抗力がある状態を保ちましょう。
ストレスを減らすことで免疫力が高まるので、適度なストレス解消法を見つけましょう。
ブラッシングが間違っている
歯周病予防には正しいブラッシングを家で継続してすることが大切です。歯磨きをしないことや、時間がないからといって適当に磨くことはやめましょう。
歯科医院での不十分な治療
歯科医院での診察や治療で、歯についた歯垢や歯石だけを診て、歯茎や歯を支える顎の骨の状態の把握ができていないことがあります。
歯周ポケットという歯茎の状態を知る検査や、レントゲンなどでの顎の骨の状態、歯の表面だけではなく歯の根についた歯垢・歯石を除去しなければいけません。
■予防処置の流れ
歯周病予防のための予防の定期検診ではどのようなことをするのでしょう。
プロービング
歯周ポケットの深さを測る検査です。
深さを測るだけではなく、出血の有無や歯石の付着の確認、歯が揺れているかどうかを調べます。
それぞれの深さによって治療方法が変わってきます。
-1~2mm
毎日のケアで改善できます。歯ブラシの他にデンタルフロスなどを使って、歯周ポケットの中の歯垢を取り除くようにしましょう。
-3~5mm以上
3mm以上の深さがある場合は、歯医者さんでクリーニング専門の機材や薬を使って歯垢を取り除く処置が必要です。
深さによって頻度が異なりますが、1か月~3か月に1回通院して経過観察しながら進行を止めます。
-6mm以上
歯周ポケットから歯石を取り除くことができないので、歯茎を切る外科的な処置が必要となります。
-9mm
歯茎が下がって歯を支えている骨が溶けてしまっている状態が予想されるので、抜歯することになるでしょう。
レントゲン撮影
歯周病が進行している場合、歯茎や歯をみても症状はあまり分かりません。レントゲン撮影をすることで顎の骨が溶けているかどうかを確認します。
口腔内カメラでの撮影
口腔内の撮影をして、客観的に歯や歯茎の状態を確認することができます。
定期検診を受けているのに歯周病が悪化したのはなぜ?(まとめ)
歯周病菌が増える原因があったり、生活の中にとりこまれている習慣が歯周病を悪化させることにつながっているのですね。
原因を取り除くことを意識しながら、定期的な歯科医院での検診と毎日の正しいブラッシングを続けましょう