Pediatric dentistry
小児歯科とは
小児歯科とは、おもにお子様の歯を診療する科目です。虫歯治療だけではなく、虫歯にならないような予防診療や、噛み合わせやスムーズな生え変わりのお手伝いをさせていただきます。
噛み合わせや歯並びを整えることで、永久歯になってからの虫歯予防につながる大切な診療です。
虫歯になってからの治療ではなく、虫歯をつくらない、ことを目標にお子様の歯を守っていきたいと思っております。
乳歯は抜けるから虫歯になっても大丈夫と思っている人もいらっしゃるかもしれませんが、永久歯が生えてくる環境に虫歯菌が常に口の中にいることになり、虫歯になりやすくなってしまうのです。
Baby teeth
乳歯について
乳歯の役割
乳歯は、生後6カ月くらいから生え始まり、3才くらいでほぼ生え終わります。口は、物を食べる、発音する、表情をつくるなどの働きがあります。
特に乳歯は「咬む」という感覚を身につけたり、顎の発達や永久歯が生えるためのスペースを確保し、次に生えてくる永久歯の先導役として大切な役割があります。
乳歯と虫歯
1976年以来、虫歯そのものは、減少してはいるものの、現状においても3才から5才にかけて、虫歯の増加が見られます。
前歯の歯の間の虫歯は3才頃をピークに、奥歯の噛み合わせ・歯の間の虫歯は3才以降に虫歯のピークが認められます。
このことから、早い時期から歯磨き粉、塗布法、洗口法などいくつかのフッ素物を長期継続して、併用することが家庭においては必要です。
また、歯科医院においては、虫歯の好発部位である、歯と歯の間にはフッ素クロスを使用し、噛み合わせには、積極的にシーラント処置といったピンポイントの虫歯対策が必要です。
虫歯はうつる?
生まれたばかりの赤ちゃんの口の中には虫歯菌はいません。しかし、周りにいる保護者の方の口の中には虫歯菌がいて、スキンシップやキス、食べ物を分け与えることから、その細菌が子どもにうつってしまい、お子様も虫歯になってしまいます。
食事中に口移しや同じスプーンで食べさせないことや、大人が使ったお箸で食べ物を分けないことなどで、感染は予防できます。
Flow of pediatric dental treatment
小児歯科治療の流れ
お子様にとって歯医者は、初めての場所で、何をされるか分からない状況なので、泣いたり、ぐずったりすることもあると思います。
一番初めに通院するのが虫歯治療でないように、予防のための通院をしましょう。
はじめは保護者の方もご一緒に入っていただき、歯医者の雰囲気になれてもらうことを目的としています。お子様の嫌がることはせずに、徐々にお口の中を診察するようにいたします。
1.口の中を診る
まずは口の中の状態を診察します。歯や歯茎の状態、歯並びや磨き残し、噛み合わせの状態、歯並びなど、痛みのあることは行いません。
2.説明
保護者の方とご一緒にお口の中の状態をご説明いたします。
3.治療
虫歯がある場合は治療いたします。
治療もお子様が嫌がる場合には、納得するまで説明したり、少しずつ治療できるように通院回数を増やしたりします。
4.ホームケア指導
虫歯になってしまう原因には、ご家庭での食生活や生活スタイルなどが関係しています。
5.定期的な検診
フッ素塗布や歯のクリーニング、歯の状態の変化などを診察するために、定期的な検診をおすすめしています。
Prevent
お子様の虫歯予防
シーラント
歯の溝は食べかすがとても入りやすいところです。この溝を埋めて食べ物のかすが入らないようにする方法がシーラントです。
このシーラントの薬の中にはフッ素が入っているので、歯を強くしてくれるのです。(フッ素コーティングです)
ご家庭での歯磨き
子供の歯は、歯の大きさも小さく、しかも薄いため、虫歯になるとすぐ神経までおかされてしまいます。
3才くらいではまだ自分に虫歯があるということを認識できず、お母さんが気づくくらい大きな虫歯になって初めて気づくというパターンが多いのです。
進行が早いというのが乳歯の虫歯の特徴ですから、時々お母さんがお子さんのお口の中をチェックして予防をしてあげてください。
お口を軽く閉じて頬にゆるみを持たせれば、歯ブラシが届きやすくなります。
フッ素塗布
フッ素には歯を硬くして強くする効果があり、虫歯を予防することができるといわれています。
歯は脱灰と再石灰化を繰り返して強くなっていくので、生えたてのお子様の歯は柔らかく、虫歯になりやすい状態です。
定期的にフッ素を塗布して虫歯予防をし、ご家庭でもフッ素入りの歯磨き粉を使用するなどして、虫歯予防しましょう。
キシリトール
キシリトールを積極的に摂取すると、口腔内の虫歯菌が減って、虫歯予防の一環になります。
キシリトールは虫歯菌の餌とならず、そのため虫歯の原因となる酸がでません。しかし、キシリトールは糖分と似ているため、虫歯菌は分解して酸を作り出そうとしますが、酸は作れないため虫歯菌の活動を疲れさせて抑制し、歯の石灰化を高めてくれる効果があります。
歯磨きしたあとにご褒美としてキシリトールをあげても、虫歯にはならないので安心です。
ただ、市販されているキシリトールは、キシリトールの含有量が少ない場合がありますので、半分以上はキシリトールが配合されているものを選ぶとよいでしょう。
Sucking finger
指吸い(指しゃぶり)の影響について
Sucking finger
指吸い(指しゃぶり)の影響について
指吸い(指しゃぶり)は、胎児の時から始まり、生後の哺乳の準備をしています。
赤ちゃんはこの「探し」、「くわえ」、「吸う」という行為(哺乳反射といいます)で生まれてすぐからお乳を飲むことが出来ます。
また、口は快感を味わい心を満足させてくれる大切な場所でもあります。
指吸い(指しゃぶり)は、3才頃までに自然になくなることが多いので受け入れてあげて良いと思います。4才以降はあまり長引かせないような心配りが必要でしょう。
指吸い(指しゃぶり)のリスク
- 歯列が乱れる
- 開咬になったため、鼻呼吸から口呼吸になり、気管支及び、肺を悪くするおそれがある。
(鼻粘膜、鼻毛による空気の濾過が出来ず、そのままの空気が入ってしまうため)
指吸いは生活習慣のため、一度には止まらないので、気がついた時に指を吸ってはいけないことをお子様に話していきます。
指吸い(指しゃぶり)の原因
赤ちゃん~3才 | 赤ちゃんは何でも口に入れて遊んだり確認したりします。 指しゃぶりは気持ちのよいこと、気持ちを落ち着かせる心の安定剤のようなものです。 |
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3才~6才 | 感受性の豊かなお子様、気持ちの交流が苦手な引っ込み思案のお子様によく見られることがあります。 特別な理由がなく単なるくせで続いている場合があります。 外遊びや園での社会生活が始まり、いつのまにか指しゃぶりをやめることが多い時期です。 |
指吸い(指しゃぶり)の対処法
赤ちゃん~3才 | 心配はいりません。前歯が出ていることがありますが、指しゃぶりをやめると自然に治ります。 |
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3才~6才 | 3才を過ぎたら「指さんとお別れしましょうね」「指さんとさよなら」などやさしく声をかけて、そっと指をはずしてあげましょう。 お子様の心模様が写し出されていることがあります。「いま不安なの」「退屈なの」「妹、弟はいいな」「もっと私を見て」などメッセージをしっかりと受け止めて、コミュニケーションを増やしましょう。 |
お母様、お父様の周りの最適なサポート
お母様、お父様の周りの最適なサポート
- 寝付くまで読み聞かせやお話をしてあげて、精神的な充足感を与え、できればその時に手を握ってあげると良いでしょう。
- 外遊びに誘いましょう。適度な疲労は質の良い睡眠を誘います。
- 手袋をして寝る、指に顔を描くなど小物を利用しましょう。
- お手伝いをした時はほめてあげて、指しゃぶりより楽しいこと、満足感があることを覚えさせましょう。
- 少しでも指しゃぶりをやめることが出来たら、カレンダーにシールを貼るなどして、お子様の努力を形にしてほめてあげましょう。
お子様も親もみんなひとりひとり個性があって違います。
指しゃぶりをしているお子様の顔を見ると、「至福の顔」でいとおしさを覚えることもあります。悩みも忘れ心が和む時なんでしょう。ある意味、ある時期までは指しゃぶりは精神的に大切なことかもしれません。健康の秘訣は精神のあり方にもあるはずです。
指しゃぶりをきっかけにサポーターである、お母様、お父様に今の子供の環境や心に目をとめてもらえたらと思います。
Pediatric correction
正しい歯並びのために(小児矯正)
お子様の歯は6歳前後から乳歯が抜けて永久歯に生え変わってきたり、奥歯に新しく永久歯が生えてきたりします。
この頃に、上手に生え変われるように、同時に、永久歯が虫歯にならないように、整えていくことが大切です。
矯正が必要かどうかなども診察いたしますので、6歳頃を目処に一度、ご来院してみてください。